
こんな人にオススメ
・北海道らしい大自然を見たい
・アイヌ文化に触れたい
ピリカ号とは

「ピリカ号」は、釧路から発着する観光バスです。
レンタカーがないと行きづらい観光地を、1日で効率よく回ってくれます。
釧路周辺の観光では、必須と思えるぐらいオススメの観光バスになります。
ピリカ号:予約サイト(冬の間はちょっとコースが変わります)
釧路から出発

それでは、ピリカ号を紹介していきます。
乗車場所は、釧路市内の3ヵ所(釧路駅・フィッシャーマンズワーフMOO・釧路プリンスホテル)からです。
バスにトイレは付いていないので、お手洗いを済ませてから乗り込みましょう。
各観光地にはトイレがありますので、ご安心を。
摩周湖(ましゅうこ)

最初に訪れるのは、霧で有名な摩周湖です。
僕は8月に訪れましたが、夏場は霧が発生することが多いらしくて、湖がほとんど見えませんでした。
水の透明度が世界2位ですが、この霧ではスゴさが分かりません。(透明度の世界1位は、ロシアのバイカル湖)
カムイシュ島

ちょっとだけ晴れてきて、摩周湖に浮かぶカムイシュ島が見えました。
アイヌの伝承によると、この島は元”おばあちゃん”です。
なに言ってんだと思われるかもしれませんが、悲しいストーリーがあります。
アイヌの伝承
部族の抗争に負けた一族の、老婆とその孫が命がけで逃げていました。
ですが、老婆は途中で孫とはぐれてしまいます。
孫を探して摩周湖にたどり着いた老婆は、来る日も来る日も孫を待ち続けて、いつしかカムイシュ島になりました。
摩周湖に誰かが来ると、老婆は「孫が現れた!」と思って嬉し涙を流します。
それが霧であり、吹雪になります。
カムイシュ島に変身する流れが急展開すぎますが、話が暗い・・・。
霧で摩周湖が見えないときは残念がらずに、「お婆ちゃんが喜んでいるんだな」ぐらいに思うようにしましょう。
硫黄山(阿寒国立公園)

続いては、硫黄山(アイヌ語でアトサヌプリ)です。
訪れるまで、阿寒湖の近くにこんな山があるとは知りませんでした。
あちこちからガスが噴出していて、異世界感があります。

硫黄はマッチや火薬の原料になるので、明治時代に積極的に鉱山が開発されました。
この山では釧路集治監(刑務所)の囚人が採掘をしていましたが、一年中、硫黄を吸っているので、看守も含めて中毒者になる人が続出したそうです。

スッゴイ臭いですが、噴気孔の目の前まで行けます。
硫黄がこびりついて、岩が黄色に染まっていますね。
噴気孔の動画
噴き出すガスは熱いので気を付けてください。
こんなに近くで噴気孔を見れる場所って、世界でも珍しいんじゃないでしょうか。
(僕が知る限り、日本ではココだけ)

火山大国の日本でも中々見ることができない光景なので、ぜひ訪れておきたい観光地です。
遠くからの景色だけなら箱根の「大涌谷」が似ていますけど。
屈斜路湖(くっしゃろこ)の砂湯

次は屈斜路湖です。
ここは、砂を掘ると温泉が湧き出るスゴイ場所です。

スコップを持参していたり、豪快に手で掘っている人もいます。

触って見ると、普通にあったかい温泉でした。
熱すぎた場合は、湖の水を入れて温度を調整します。
(掘られた穴は、施設の職員が砂を戻してるのかな?)

無料で飲める温泉もあります。
痛風・胃腸・じん麻疹などに効果があるみたいです。

温泉を飲んでみるとしょっぱかったので、甘いものでお口直しです。
北見市の「クレアート」というお店のアイスになります。
クッシー

1970年代にネッシー(ネス湖の未確認生物)ブームが起きた時に、日本中の湖で「〇〇ッシー」という亜種が誕生しました。
その中でも、屈斜路湖のクッシーと、鹿児島県池田湖のイッシーが全国的に有名だったそうです。
アイヌコタン(阿寒湖)

最後は、阿寒湖の「アイヌコタン」です。
アイヌをテーマにした小さな村で、伝統工芸品のお店などが並びます。
入り口に飾ってあるフクロウは、アイヌでは村の守り神になります。
阿寒湖アイヌシアター イコロ

アイヌの古式舞踊も見ることが出来ます。
伝統芸能的な踊りなので、あまりエンタメ性はありません。
布を頭上に掲げて踊るのは、鶴を表現した”サロルンリムセ(鶴の舞)”になります。
(最初見たとき、雨乞いでもしてるのかな?と思いました)
民芸喫茶 ポロンノ

ジビエ(野生の鹿や猪を使う)料理が食べられる「民芸喫茶ポロンノ」です。
多分、アイヌコタンの村で一番有名なお店になります。

ユック(エゾシカ)スープとご飯のセットを注文しました。
シンプルな味付けで、臭みなどはそんなにありません。
マリモ展示観察センター

阿寒湖に浮かぶ「チュウルイ島」へ行く場合は、フェリーで往復85分かかります。
バスツアーだと阿寒湖の滞在時間は120分(冬は60分)なので、フェリーに乗るのはまず無理です。
乗れたとしても、食事やアイヌコタンに行く時間が無くなります。
でもチュウルイ島には、「世界最大のマリモが展示されている」というじゃないですか。

そんなの聞いたら、行くしかありません。(マリモに関する知識は、ゆるキャラの”まりもっこり”ぐらいですけど)
僕は観光バスをここで降りて、別のバスで帰る選択をします。
ピリカ号に乗ってても、もう釧路まで帰るだけですし。

それでは、阿寒湖に浮かぶ「チュウルイ島」を目指します。
アイヌの装飾がされた船で出発です。
ちなみに冬の間は運休しているので注意してください。

「アマゾンの奥地に来ました」と言っても、ギリギリ信じてもらえそうな風景です。

チュウルイ島に到着です。
マリモっぽいキャラクターが道案内をしてくれます。
マリモ展示観察センター

建物の中には、大量のマリモが展示されています。
マリモは藻の一種で、普通は岩に付着していますが、阿寒湖では波の力で回転するので丸いマリモ(毬藻)になります。
また阿寒湖では数年に一回大きな嵐がやってきて、マリモの天敵である水草を押し流してしまいます。
なので天敵のいなくなった阿寒湖では、大きいマリモが育ちやすくなるのです。
世界最大級のマリモ

これがお目当ての世界最大級のマリモです。
高さは25cmぐらいでしょうか。
これぐらい大きくなるには5〜9年かかるそうです。
マリモの大きさや生息数では、阿寒湖が世界一に認定されています。
浮かぶマリモ

かつて「マリモは浮かばない」と思われていましたが、実は浮きます。
マリモは藻の一種なので、当然ながら光合成をします。
光合成で発生した酸素の浮力が、マリモの重量を超えると浮いてくるわけです。
僕が行った時は、ちょうど浮いているマリモがいました。
(マリモの表面を見ると空気の粒が見えますね)
崩れるマリモ

マリモの最後として、崩壊した姿も展示されています。
マリモの中心は空洞なので、ある程度の大きさになったら、岸に打ち上げられるか崩壊するそうです。

ピリカ号を途中で降りてしまいましたが、マリモが激レア生物であることが分かりました。
北海道の土産屋で大量に売られているマリモは、人の手で丸められたものです。
阿寒湖のマリモは特別天然記念物に指定されているので、採ると犯罪になります。(文化財保護法違反)
クマに出会ってしまったら?

帰りのバスを待っていると、クマに出会った場合の注意事項を見かけました。
山に入らなければ遭遇することもほぼ無いとは言え、いざという時には命を救われそうな情報ですね・・・。
ん?

「そっと鉈(なた)を手にする!」
観光客に無茶をおっしゃる。
最後に

ピリカ号は、一人旅にもグループ旅行にも、どんな場合でもオススメできる観光バスです。
バスガイドさんの案内によって、ただの移動時間が観光に早変わりします。
ぜひ釧路エリアに行くときは、ピリカ号を利用してみてください。
個人的にはノーマークだった硫黄山が衝撃でした。