博物館 網走監獄|刑務所が体験できるミュージアム(北海道) ★★

2021年2月7日

網走監獄の廊下

こんな人にオススメ

・網走刑務所の名前だけは聞いたことがある

・どんな博物館か知りたい

・漫画「ゴールデンカムイ」を読んでいる

博物館 網走(あばしり)監獄とは

網走監獄の入り口

網走監獄は、かつて網走市にあった旧・網走刑務所を、そのまま博物館にした施設です。(現役の網走刑務所と区別するために、"監獄"と呼んでいます。)

重要な建物を移築して、蝋人形などで当時の生活を再現しています。

今回はそんな網走監獄の魅力を紹介していきます。

網走刑務所の歴史

網走監獄をより楽しむために、さっと歴史を解説します。

収監されたのは凶悪犯?

網走監獄の拘束具

網走刑務所と聞くと、「凶悪犯ばかりがいて、脱獄不可能な監獄」というイメージの人も多いと思います。

ここに収容されるのは”懲役12年以上の囚人”と決まっていたので、あながち間違いではありません。

ですが網走刑務所が出来た1890年は、政治の混乱期でした。

明治政府にとって都合が悪い政治犯も多く服役していたので、一概に凶悪犯とは言えないのではないかと思います。

(明治政府を創った薩摩・長州藩も、もし負けていれば政治犯扱いだったでしょうし)

 

なぜ北海道に監獄を建てた?

網走に刑務所が建てられた理由は、大きく2つあります。

理由1:刑務所がパンク状態だった

網走監獄の風景

前述したように、当時は政治犯がたくさん収容されたので、全国の刑務所に人が溢れていました。(西郷隆盛が戦った西南戦争で負けた人達とか)

それらを解消するために大規模な刑務所が必要だったので、未開拓地の多い北海道が選ばれました。

理由2:北海道を守るため

網走監獄の開拓距離

当時の北海道にはロシア帝国の脅威が迫っていて、開拓が急務でした。

そこで安価な労働力として囚人を使うことが提案されたのです。

最終的には1200人の囚人が網走刑務所に移送され、整備した街道は合計724kmにもなります。(大阪-東京間で大体500kmなのでスゴイ距離ですね)

 

脱獄は不可能?

網走監獄の脱獄の歴史

網走刑務所は最新鋭の警備と、周辺は原生林であることから、脱獄は不可能と言われていました。

ですが、昭和の脱獄王と呼ばれた「白鳥 由栄(しらとり よしえ)」が脱獄を成功させます。

この男性はマンガみたいな能力の持ち主で、人生で4度も脱獄しました。

白鳥 由栄の能力

・手錠の鎖を引きちぎるほどの怪力

・全身の関節を脱臼させて、頭が入るスペースさえあればどこでも通れる

・超健脚で、1日120km移動できる

間違いなく、マンガキャラですね。

網走刑務所では3回目の脱獄でした。

看守にも警戒されていたので、通常より頑丈な手錠や牢屋に入れられましたが、食事に出されていた味噌汁をかけ続けて腐食させて破壊しました。

 

漫画「ゴールデンカムイ」にも登場

網走監獄のゴールデンカムイ

網走刑務所は、北海道を舞台にした漫画「ゴールデンカムイ」にも登場します。

刑務所が物語の核にもなっていて、先ほど紹介した脱獄王をモデルにした「白石由竹」というキャラもいます。
(実在の人物と違って、かなりのヘタレキャラになっていますが)

作者である野田サトル先生の色紙も刑務所に飾られているので、ファンの人は訪れましょう。

大英博物館のアシリパさん

余談ですが、2019年にイギリスの大英博物館で開催された「Manga展」では、ゴールデンカムイのヒロインである「アシリパさん」がメインビジュアルになっていました。

日本人らしい容姿から選ばれたそうですが、たしかにパッと見で日本人と分かる漫画のキャラって、貴重な気がします。

 

網走監獄の見どころ

それでは網走監獄を見ていきましょう。

正門(赤レンガ門)

網走監獄の正門

かつては受刑者に恐れられた網走刑務所の正門ですが、今では家族連れも通るテーマパークの入り口です。

 

舎房・中央見張所

網走監獄の舎房及び中央見張所

受刑者が収容された雑居房がある施設です。

建物に死角がないので、囚人が怪しい動きをしたら、すぐに分かるようになっています。

網走監獄の雑居房

このような雑居房が226房あります。

写真では分かりづらいですが、格子窓が斜めに付いていて、他の雑居房からは中が見えないようになっています。

受刑者同士のコミュニケーションを防ぐためですね。

網走監獄の食事風景

食事風景が蝋人形で再現されています。

真冬には暖房を付けても室温がマイナスだったので、鼻が腐る受刑者もいたそうです。

こええ。

 

浴場

網走監獄の浴場の外観

受刑者たちの数少ない娯楽でもある浴場です。

湯船はコンクリート製で、ボイラーでお湯を沸かす近代的なものでした。

建物左上には、蒸気を逃す”湯気抜き”もありますね。

網走監獄の浴場の中

受刑者が交代で入りますが、脱衣から着衣まで15分しか与えられませんでした。

それでも1日に200人程度しか入れなかったので、入浴できるのは月に5回程度です。

出所する受刑者は、前日に1人で入ることが許されたそうで、久しぶりの一人風呂は格別だったでしょうね。

 

煉瓦造りの独居房

網走監獄の煉瓦造りの独居房

規則に違反した者は、独居房に入れられます。

窓は無く、食事の量も減らされるので、屈強な受刑者にも恐れられました。

それが今では文化財扱いです。

人間は暗闇に3日もいると発狂するらしいですが、実際はどうだったんでしょうね。

 

二見ヶ岡農場

網走監獄の二見ヶ岡刑務支所

食糧を生産する農場です。

基本的は自給自足だったので、戦時中でも受刑者は麦飯(麦7割、白米3割)を食べていました。

食事を取り上げなかったのは、反乱防止のためだったと言われています。

たしかに網走の過酷な環境で、ご飯まで奪われたら暴動が起きそうですね。

 

監獄食を再現

網走監獄の食事風景

食堂もあって、受刑者たち(蝋人形)とご飯を食べることができます。

ぜんぜん嬉しくないけど。

網走監獄の監獄食を再現

メニューは当時の食事を再現したものですが、普通に素朴でおいしいです。
(本来は味噌汁じゃなくて番茶のようです。脱獄王が味噌汁を脱獄に使った影響かな?)

せっかくなので食べていきましょう。

博物館の外にある「監獄食堂」でも、同じメニューが楽しめます。

 

教誨堂(きょうかいどう)

網走監獄の教誨堂(きょうかいどう)

この建物は僧侶や牧師さんを招いて、収容者を精神的・倫理的に援助するために使用されました。

網走監獄の教誨堂(きょうかいどう)の中

建物は当時の最新技術で造られていて、中には柱がありません。

まるでダンスホールのような大空間を実現してます。

この建物だけ刑務所じゃないみたいです。

 

釧路地方裁判所 網走支部

網走監獄の裁判所

裁判所も設置されています。

机や椅子、照明やカーテンは当時のものが展示されています。

 

入場料と所要時間

網走監獄の入り口

入場料は大人1100円です。

所要時間は、合計2〜3時間かなと思います。(無料ツアー1時間+自分で散策1時間+食事30分ぐらい)

公式ホームページには10%OFF券があるので、チケットを買うときに見せましょう。

インターネット割引券:公式サイト

 

アクセス

網走駅の外観

網走駅からはバスで10分ほどです。

車やタクシーで行く場合は、現役の網走刑務所と間違えないようにしましょう。

博物館は、網走監獄です。

バス案内:網走バス公式サイト

最後に

網走監獄は、普通は入ることができない刑務所を体験できる、日本で唯一の施設です。
(元・刑務所を改築した施設とかは他にもありますが)

建物は大正ロマンに溢れてますし、北海道の歴史においても重要な場所です。

知床半島に行く人は通り道になるはずなので、合わせて訪れましょう。

 

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