記事の要約
・奥能登国際芸術祭2020+に行ってきました(会期は2021年9月4日〜11月5日)
・10月1日から全ての作品が見れるようになりました
・現代アートの祭典ですが美術に興味がなくても楽しめます
奥能登(おくのと)国際芸術祭とは
奥能登国際芸術祭は、石川県の珠洲市(すずし)で開催される芸術祭です。
2020年に第二回目が開催予定でしたが、コロナの影響で2021年に延期されました。
「最涯(さいはて)の芸術祭」というキャッチコピーの通りアクセスは悪いですが、地域を盛り上げようという意気込みが伝わるイベントになっています。
開催の概要
- 会期:2021年9月4日(土)〜11月5日(金) ←当初の10月24日から延長決定
- 時間:9:30〜17:00
- 休館日:祝日除く木曜日(屋外作品は鑑賞可能。11月4日は開館)
- 会場:珠洲市全域
実際に行った感想は?
素直な感想としては、コロナ禍で公開作品が限定されているとはいえ、なかなか面白いイベントで行ってよかったです。
会場はかつての小学校や廃線になった駅舎が使われていることが多くて、どこか懐かしい気持ちにもなれました。
珠洲市にも行ったことがなかったので良いタイミングだったと思います。
(10月1日から屋内作品も含めて、全ての作品が公開されるようになりました)
現代アートを知らなくても楽しめる?
なかなか言いにくことですが、現代アートの中には「なんだこれ?」以上の感想が出てこない作品もあります。
それもそのはずで、現代アートは時代背景や過去の作品との関係性を考えた上で楽しむというパターンが多いからです。
例えるなら、テレビドラマの最新話だけを見て「訳わからん」と感じるようなものです。
そこで理解の手助けになるのがガイドブックですが、一部の作品については外観の説明だけで、あんまり中身やメッセージには触れていませんでした。
楽しみ方を固定化しないための配慮かもしれませんが、もうちょっと詳しい解説が欲しかったです。
なので楽しめた作品は、正直なところ全体の半分ぐらいでした。
個人的には芸術イベントでの作品の場合は、ある程度のエンタメ性は必須かなと考えています。
作家性を見せたいだけなら個展でも開いて、そういうのが好きな人だけでやってればいいわけですから。
(上のゴミ山はビジュアル的にも面白いですし、環境問題に関する作品と想像しやすいので、こういうイベント向きの作品だと思います)
コロナ対策は?
最近のイベントで気になるのはコロナ対策ですが、トップレベルの対応でした。
基本的に室内の作品を見るには、検温スポットを通らないと入れないようになっています。
検温が終われば「検温済み」のリストバンドが貰えるので、同じ日に何度も検温する必要はありません。
大規模な検温スポットは、「さいはてのキャバレー」と「スズ・シアター・ミュージアム」なので、最初に訪れておきましょう。
作品の紹介
それでは、個人的に見て面白かった作品を紹介していきます。
屋外作品は一つを除いて、全て回りました。
(行けなかったのは、旧大坊小学校グラウンドにある「Gravity/この地を見つめる」だけです。他の作品は海岸沿いに展示されているのに、これだけ山の中にあったからです)
さいはてのキャバレー
かつては定期船の待合室でしたが、今は奥能登国際芸術祭のメイン物販会場です。
最初に寄って、作品鑑賞パスポートとガイドブックを買っていきましょう。
地元の名物も売っていて、このバームクーヘンとか美味しかったです。
小さい方でも1000円するので、ちょっと高いですけどね。
Something Else is Possible:トビアス・レーベルガー(旧蛸島駅)
廃駅になった蛸島駅に設置されたオブジェです。
前回の第一回(2017年)から引き続いての参戦です。
枠がうねるように配置された面白いビジュアルです。
作品の中には入ることが出来て、中央には意味ありげに双眼鏡が付いています。
双眼鏡を覗くと、作品のタイトルにもなっている「Something Else is Possible(訳:なにか他にできる)」のネオンが見えます。
作者のメッセージだそうです。
線路の上を歩いて昔のホームに行くことも出来ますが、思ったより距離があります。
僕は奥まで行きすぎて、ちょっと疲れたので程々で引き返しましょう。。
😂:ディラン・カク(旧鵜飼駅)
作品名は顔文字の「😂」だけです。斬新。
こちらも昔の駅が展示場所です。
この半透明の猿は、スマホに没頭する人たちを表現しているそうです。
漂流記:力五山(ラポルトすず)
日本にある、全ての有人島を表現した作品です。
よく見ると能登半島が中心になって、日本全体を支えているようになっています。
一つ一つに名前が振ってありますが、見分けがつきません・・・。
島は暖流か寒流かで色分けされています。
クジラ伝説遺跡:トゥ・ウェイチェン(旧日置小中学校グラウンド)
珠洲市では縄文時代からクジラを食べていた痕跡があって、クジラの伝説も多く残っています。
そんなクジラが、まるで出土したかのように見せる作品です。
ちょっと展示場所が分かりづらくて、僕は作品の前を一回素通りしました。
このグラウンドの中にあるので、見逃さないようにしましょう。
私のこと考えて:スボード・グプタ(笹波海岸)
漂流物を組み合わせた作品です。
珠洲市は海流の関係で、色んな漂流物が流れ着きやすい地形だそうです。
移住生活の交易場:村上慧(道の駅すずなり)
見た目はただの小屋ですが、作者の村上さんはこれを担いで日本中を移住生活しています。
ヤドカリみたいに移動する映像が入り口付近で流れているので、見逃さないようにしましょう。
一番の驚きは、そんな生活をしている作者が結婚されていることですけど。
スズ・シアター・ミュージアム(旧西部小学校)
かつての小学校を改装したミュージアムです。
昔の民具などが展示されていて、珠洲の歴史や風土をテーマにした作品が並べられています。
個人的に気に入ったのは、この施設の外にありました。
外のテントで売っていた唐揚げとレモネードです。
能登半島を自転車で走り回った体に、唐揚げのタンパク質とレモネードの酸味が染み渡りました。
イベントの屋台のレベルを軽く超えているのでオススメです。特にレモネード。
ちなみに食事スペースは、小学校にあった椅子と机を利用しています。
メニュー表には、他にもおにぎりとかがありましたが売り切れてました。
オススメの宿泊先
能登国際芸術祭は珠洲市全体が会場になるので、1日で回るのはちょっと辛いと思います。
出来れば一泊二日は欲しいところなので、オススメの宿を紹介します。
珠洲温泉 のとじ荘
僕が泊まったホテルです。
珠洲市には「見附島(みつけじま)」という有名な景勝地があるんですが、そこに近かったのが決め手でした。
どれぐらい近いかというと、ホテルのロビーから見えるレベルです。(窓の外に見えている岩が見附島です)
もちろん部屋(海側の場合)からも、露天風呂からも景観を楽しめます。
ちなみにお風呂は温泉ですが、露天風呂は1つしかなくて男女で日替わりなので注意しましょう。
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オススメの回り方
オススメは圧倒的にレンタカーです。
バスもそれなりに走っていますが、小回りが効かず不便です。
能登空港か穴水駅に着いたら、レンタカーを手配しましょう。
1日目は珠洲市の南側を、2日目に北側を回るプランが良いと思います。
街中には案内板が出ているので、見に行きたい作品の番号だけ押さえておけば辿り着けると思います。
レンタサイクルもあり
珠洲市の南方面だけを回るなら自転車という選択肢もアリだと思います。
電動自転車を「道の駅すずなり」で借りることが出来ます。
ちなみに僕は自分の自転車で、北も南も回りました。
アップダウンもそれなりにありますが、景色がキレイなので苦になりませんでした。
ただし珠洲市の天気は変わりやすいので注意しましょう。
実際に僕も何回か雨に降られたので、やっぱりレンタカーが一番のオススメです。
料金とガイドブック
作品鑑賞パスポートは大人3000円、大学生1200円、小中高生500円です。
個別に作品を見る場合は一つ300円で、スズ・シアター・ミュージアムだけ800円ですが、屋外作品の場合は特に徴収する人はいませんでした。
ぶっちゃけ屋外作品だけなら無料で回れそうな感じですが、気分良く鑑賞するためにもパスポートは買っておきましょう。
あとはガイドブックが1300円なので、理解を深めるために買っておきましょう。
「さいはてのキャバレー」の他、珠洲市内の道の駅などでも買うことが出来ます。
マップも100円で売っていますが、駅などに置いてある地図が載ったフリーペーパーで十分でした。
フリーペーパーは金沢駅の観光案内所にも置いてあったので、金沢経由の人は取っておきましょう。
会期と営業時間
会期 | 2021年9月4日(土)〜11月5日(金) | |
営業時間 | 9:30〜17:00 | |
定休日 | 祝日除く木曜日(11月4日は開館) | |
公式ホームページ | 営業時間(最新情報を確認下さい) |
コロナの状況によって鑑賞できる作品が変わるので、事前に公式サイトをチェックしておきましょう。
(10月1日からは、全ての作品が公開されています)
アクセス
住所 | 〒927-1214 石川県珠洲市飯田町1-13 | |
電話番号 | 0768-82-7720 | |
飛行機 | 羽田空港から能登空港まで1時間(1日2便) | |
電車 | 金沢駅から2時間30分〜3時間 | |
公式サイト | 交通アクセス(最新情報を確認下さい) |
東日本からは飛行機で、西日本からは電車で訪れるのがいいと思います。
電車の場合、金沢駅までは新幹線やサンダーバードで割と早く着きますが、金沢から珠洲市に行くには、さらに3時間ぐらいかかりますので覚悟しておきましょう。
金沢駅からの移動手段としては、観光列車の「花嫁のれん号」、「のと里山里海号」の利用もオススメです。
地図
最後に
奥能登国際芸術祭は、まだ第二回目の新しい芸術祭です。
会期が終わっても恒久展示される作品があるみたいなので、これから回を重ねるごとに見どころが増えていくと思います。
現代アートに興味がなくても楽しめる作品が多いので、ぜひこの機会に珠洲市へ訪れてみましょう。
合わせて行きたい観光地
見附島(みつけじま)
見附島|ホテル「のとじ荘」に泊まって1日の姿を堪能( 石川) ★☆☆
石川県の「見附島」の紹介です。
1日の変化を楽しむためにも、近くのホテルに泊まるのがオススメします。続きを見る
珠洲市を代表する景勝地で、別名「軍艦島」とも呼ばれています。
夜にはライトアップもされますし、朝日や夕日とも相性が良いので、いつ訪れても楽しめます。
青の洞窟
有名旅館「ランプの宿」に併設された施設です。
実はけっこう悪評が多くて、「人工物だらけのガッカリスポット」と事前に聞いていたので、そこまで悪い印象は受けませんでした。
むしろお客さんも少なくて個人的には満足しました。パワースポット感はあんまり無いですけど。
展望台も同じ場所にあって、料金の1500円に含まれています。
奥能登国際芸術祭のパスポートを持っていれば割引があるので利用しましょう。